研究紹介

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2005 BBRC.png■エゾアカガエル幼生の捕食者誘導防御形体発現の遺伝的基盤 

Biochemical and Biophysical Research Communications 330: 1138-1145.

生物の初期生活には進化生物学者が興味を抱く生活史形質やエピソードがある。卵や種の大きさの種間、種内のバリエーションは特に興味を引く形質であり、適応論的な説明のための基本理論が確立している。しかし、従来の研究は陸圏の生物に集中しており、水圏の特有な環境から卵の大きさを予測する理論の発展はほとんどない。私たちは、水圏の環境特性から卵の大きさに生じるパターンを予測するためのモデルを提案する。

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2005 Biol Let.jpg■オタマジャクシの尾が生じさせる波動がエゾサンショウウオの肉食形質を誘導する。 

Biology Letters (2005) 1: 75-77.

生物は差し迫った環境変化に対して何らかの反応をする。エゾサンショウウオの幼生は捕食の危機に対して2つの形質の可塑性を示す。池の底で動きを止める防衛がその一つである。防衛は捕食危機に対する直接の反応である。もう一つは防衛によって生じた酸素不足を補償するための外鰓の発達である。外鰓の可塑的発達は、防衛による酸素不足によってばかりでなく、もともとの原因であるが、直接的な原因ではない捕食者の存在によっても誘導される。

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2005 EER.jpg■多種の捕食者に対する多様な誘導防御

Evolutionary Ecology Research (2005) 7: 619-631.

富栄養化と食物網の安定性の関係についての論争がある。30年前、単純な数理モデルの分析が、基底の資源が豊富になると食物網の動態は不安定化するようだという結論を導いた。この結論は直観や観察事実と折り合いが良くないという考えがあり、モデルがパラドックスを提案したといえる。私たちは数理モデルの解析からパラドックスが解消する条件を知ることができた。

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2004b JTB.jpg■共食いの進化:共食いのコスト

Journal of theoretical Biology (2004b) 226: 291-300.

北海道の林縁部の池では、エゾサンショウウオ幼生は、エゾアカガエルのオタマジャクシの捕食者である。サンショウウオ幼生はオタマジャクシを丸のみで食う。オタマジャクシは頭胴部を膨満させて丸のみに対抗している。北海道の離島の奥尻島にはエゾサンショウウオがいない。奥尻島のエゾアカガエルのオタマジャクシは膨満化の能力があまりない。人工受精による交差交配による離島と北海道本島の混血個体の膨満度は、両者の中間である。

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2004a JTB.jpg■形質分散と進化軌道の可変性

 Journal of theoretical Biology 226: 79-87.

エゾサンショウウオの幼生はエゾアカガエルのオタマジャクシを餌としている。オタマジャクシがいる池のサンショウウオは頭でっかち型になる。頭でっかち型はオタマジャクシを丸呑みするのに都合がよい形態である。オタマジャクシは膨満形態になって、丸呑みに対抗している。両種の密接な捕食-被食関係が互いの形態の可塑性を共進化させてきたのかもしれない。

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2004 Oecologia.jpg■膨満形態のオタマジャクシ;誘導防御形体

Oecologia 140:414-421.

生物は、二次的形質を環境変化に対象するするために発現させることができる。行動の変更は、そのもっとも一般的な例である。生物の中には、形態を変化させることによって環境変化に対処する者もいる。適応的側面からみて、新たな環境に対処する二次的形質の発現は、必ずしも迅速であるべきではない。二次的形質を発現させること自体は適応的であっても、その発現タイミングを遅らせたほうがよい状況はどんなときかを明らかにした。

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